心も食卓もはなやぐ
晴レの日の器・ハレクタニ
ハレクタニは、2017年に誕生した九谷焼のブランドです。
伝統の九谷の和絵具と転写技術、そして現代的なデザインと形状が合わさった今までにない新しい九谷焼として人気を集めています。
今回は、ハレクタニブランドを手掛ける北野陶寿堂の北野広記氏にお話を伺いました。
コンセプトは
『晴レの日におくる九谷焼の器』
大切な人の晴レの日を祝福するために、エールを送るために、感謝を伝えるために。そしてハレクタニを手にした人の気持ちが晴れやかに、楽しくなるように。そんな思いを込めて作られたのがハレクタニなのだそう。
ライフスタイルの変化にあわせた
カジュアルなデザイン
もともと九谷焼は贈り物として求められることも多い焼き物。古典的な上絵は素晴らしく、高級なイメージもあって、九谷焼が贈答品として需要があるのもうなずけます。
「古典的な上絵や高級感のある九谷焼はカッコよくて自分も好きです。でも一方で、カジュアルな九谷焼があってもいいんじゃないかと考えました」と広記氏は振り返ります。
確かに時代とともにライフスタイルは変化。和食器だけでなく、洋食器も当たり前のように食卓に並びます。
贈るシーンも結婚のお祝いだったり、ちょっとしたことへのお礼だったり、自分へのご褒美だったり。贈る相手や状況はバラエティに富んでいて、場合によってはカジュアルなものが最適だったりもします。
「思わずプレゼントしたくなる、もらったらうれしい、使ったら楽しい」。そんなブランドを目指して広記氏はハレクタニを立ち上げました。
器のカタチに合わせたデザインで
手にした人をワクワクさせる
例えばハレクタニの人気アイテム、ネコ皿とサカナ皿。皿のフォルムに合わせた上絵のデザインになっています。
ネコのカタチの器にネコの絵付け。
サカナのカタチの器にサカナを絵付け。
ネコ皿とサカナ皿、実は同じカタチ。ネコ皿と同じ器を90度回転して描いたものがサカナ皿なのだそう。かわいくてユニークで、思わず笑顔になります。
「九谷焼は、上絵に力を入れてきた焼き物です。上絵に重点が置かれていたため、他の焼き物の産地に比べると器のカタチの個性は少なめ。そこで九谷焼の世界ではあまり注目されていなかった『器のフォルム」をハレクタニではポイントにしたんです」と広記氏。
りんごと洋ナシのカタチの小皿。
花びらを重ねたような器に大輪の花を絵付け。
左はクジラ、右はサカナのフォルムのレンゲ。
今まで、九谷焼ではこだわることの少なかった個性的なフォルムと、これまでにはあまり見られなかったカジュアルデザイン。この2つを融合させたことで、斬新でかわいい九谷焼・ハレクタニが生まれたのです。
“九谷焼ならでは”も、ぬかりなく。
九谷の和絵具の質感と色彩
「カジュアルな九谷焼を目指しましたが、ハレクタニは絵付けの重厚感や高級感といった九谷焼らしさも大事にしています」と広記氏。
ポイントとなるのが和絵具だという。九谷焼の上絵の多くに使われているのが和絵具。この和絵具が九谷焼ならではの重厚感や高級感をもたらしているのだそう。もちろんハレクタニの上絵も和絵具。
和絵具は焼成するとガラス質に変化。和絵具で絵付けすると、ぷっくらと厚みがでて、それが重厚感につながります。
また、色ガラスのような透明感があり、上品で美しい。
九谷焼には、九谷五彩と称される基本の5色があります。緑、黄、紫、紺青、赤の5色。ハレクタニは、この5色に加えて、オリジナルで調合した中間色を採用しているそう。
九谷五彩を意識した一輪楕円皿S。
「九谷焼の色彩は、バリエーションが実は豊富。その辺もハレクタニで楽しんでもらえたらなと思います」と広記氏。
今までにない九谷焼として
注目されるも・・・
ハレクタニは2017年の秋、展示会でお披露目されました。
今までの九谷焼には見られなかった形状やデザインで大いに注目を集めたそう。
最初に発表されたアイテムたち。
実際に、大手のお店やライフスタイル専門店からも声がかかり、店頭にハレクタニのアイテムが並びました。しかし、なかなか人気に火がつかない。
斬新なデザインでかわいいのですが、それまでの九谷焼のイメージとのギャップ、そして実際に食卓でどう使うか、いまいち消費者に伝わらなかったのではと分析した広記氏。
そこで注力したのが情報発信だったそう。
盛り付けて楽しい
使ってうれしいを伝える
まずはテーブルコーディネーターに依頼して、ハレクタニの使用例を撮影し、料理やスイーツを盛り付けた写真を店頭に設置することに。そうすることで、ハレクタニは、使って楽しい・盛り付けてもかわいい器であることをアピール。
また、ホームページを制作し、さらにインスタグラムも開設。「希望するインスタグラマーにハレクタニの器をプレゼントして、その器を使った画像を各々のインスタにアップしてもらうというイベントも行いましたね」。
積極的な情報発信の影響・反響は大きく、ショップからの問い合わせやホームページでの個人購入も増えていったのだそう。
毎年新作を発表
欧米デザイナーとのコラボも
2017年に誕生して以来、毎年、新しいデザインを発表しているハレクタニ。
2018年は、青い鳥・青い魚のカップや花と鳥シリーズ、春花銘々皿などが新たにラインナップしました。
2019年は、チョウ・カモメのマグカップ、ハブラシスタンド、木の実と鳥プレートなどが登場。
2020年は、だるま皿や花のプレート、箸と箸置きのセットなどが仲間入り。
2021年は、一輪挿しや花プレート、吉祥プレートなどが加わりました。
そして2022年に発表されたボウルは、フィンランドとアメリカのグラフィックデザイナーからデザインを提供してもらったものだそう。
九谷の和絵具の鮮やかな色彩が生きるポップで楽しいアイテムに。
2023年にはカップ&ソーサーも誕生しています。
なぜ毎年、新商品を発表しているのでしょう?
「いつも同じラインナップだと面白くないですよね。なにより、新しいアイテムでワクワクしてもらいたいんです」と広記氏。そんな思いが、毎年新アイテムを生み出す原動力になっているのだそう。
2024の新作は
幸運モチーフ“雪結晶”
2024年の新作は雪の結晶をモチーフにしたレリーフ皿とリムプレート。
「雪の結晶は六角形。自然界において六角形は、もっとも安定したカタチとされていて、愛と幸せを運んでくれるカタチとも言われています。
器の形状にこだわるというハレクタニの初心を大事にすべく、器のフォルムは雪結晶のイメージに合わせて、イチから型をおこした完全オリジナルです。雪の結晶のような洗練された美をまとわせるため、細部のディテールにも凝っています」と広記氏。
シンプルなのに、細部のデザインがさりげなく個性的で素敵です。
パッケージも
晴レやかに、楽しく
ハレクタニはボックスも魅力的です。
包装紙もハレクタニのオリジナルデザインです。
「ギフトとして受け取った人が、まず目にするのはパッケージ。晴レの日のギフトだからこそ、パッケージの段階からワクワクしてもらいたい」とパッケージや包装紙へのこだわりを教えてくれました。
自分用に、家族用に
何気ない日常が華やぐ
晴レの日におくる器として生まれたハレクタニ。ギフトとしてはもちろんのこと、自分用に、家族用にと購入されるケースも多いのだとか。
毎日の食事で使う器。
そのデザインは無意識にも目に入ってきます。気分が落ち込む日も、澄ましたネコの表情に癒されたり。
カラフルなやさい柄の茶碗で、ご飯を食べるとなんとなく元気がでたり。
かわいいさくらんぼが、ますますかわいく見えたり。
いつもの毎日を、ほんのりと、ひだまりのように華やかに彩ってくれるのがハレクタニの器の魅力なんだと思います。
「日本はもちろん、世界中の食卓にハレクタニの器が並んでほしい」と広記氏。これからもワクワクする絵付けと斬新なフォルムで、世界中の人を楽しませてくれることでしょう。
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Instagram @harekutani